2025『寒露』串原のへぼがーるずが伝えるヘボの魅力は村おこしであり人おこしだった

二十四節氣

寒露 kanro

草木に冷たい露が下りることから名づけられた寒露。朝晩の冷え込みが強まり、秋の深まりを感じます。里の木には赤い実がなり、黄昏時のすすきは色なき風にゆれ、少しだけ紅葉もはじまっています。秋雨の山は秋の霧がかかっており、白秋美しい自然現象がみられます。

ヘボ 地蜂

“ヘボ”はこの地に生息するクロスズメバチのこと。春、土の中につくられたソフトボールほどの巣を掘り出し、愛好家たちによってつくられたそれぞれの巣箱の中でヘボは飼育されます。寒露の時期は、ヘボの飼育の最盛期となると聞いて串原へ。この日のイベントにて、地域の女性たちの有志グループ“へぼがーるず”のみなさんが食文化の継承を担っていました。ここではハチは高級品として食されているのです。

 へぼがーるずの皆さんに土の中にいるハチをどやって見つけるのかを教えてもらいます。餌として新鮮な肉が用意され、蜂たちはそれを団子状にします。そのすきにハチに透かしと言われる白い綿を着け飛ばし、蜂に着いた透かしを追って愛好家たちは巣へと向かう蜂を、山中駆け巡り追いかけるのです。蜂の帰巣の習性をうまく利用した方法です。

子ども達の手から透かしをつけ飛び立つ蜂に愛着がわいた私は、小さい時からこの文化に触れていることに気付きます。幼い頃の記憶はあなどれません。街ではハチは害虫であってこれを食べるという習慣はなく、さらに不快な昆虫として認識されていることもしばしば。しかしここ串原では、蜂を大きくし、保護すること、また食す風習を「村おこし」そして「人おこし」と謳い、多くの人々に愛されてきました。人々の熱狂が地域も人も動かすのでしょう。

山で生きる人たちは昔から山菜や茸、自然薯などの山の幸も大事にします。それは全て根こそぎ取ってしまって絶やさない、必ず来年に残すように心がけてきたといいます。こうした文化と自然との共生が、この先の未来も続くことを望み、そして「人おこし」が続く串原を今後も追いかけていきたいと思っています。


来る十一月三日は愛好家が育てた自慢の巣を一斉に集め、

その重さを競う奇祭【串原ヘボまつり】が開催されます

私たちは恵那山のふもとでフリーペーパーを発行している任意団体です。本当の意味で“誰一人取り残されない”のは季節の移り変わりではないでしょうか。また美しい自然から、地域の強みや魅力を教えられているのは、私たちだとも感じています。 心を豊かにするこの地域のひとときを二十四節氣とともに発信。そしてこの地のスタートアップから、インタビューや寄稿を通したコンテンツは、恵那山の頂きより「ヤッホー!」と叫ぶように、多くの人々に届いたらいいなと思っています。

We are a voluntary organization that publishes free papers at the foot of Mt. Ena. Isn’t it the change of seasons that truly means that no one is left behind? I also feel that we are the ones who are taught the strengths and charms of the region by the beautiful nature. We will transmit a moment of this region that enriches the mind with 24 seasons. And I hope that the content through interviews and contributions from startups in this area will reach as many people as possible like shouting “Yo-ho!” from the top of Mt. Ena.

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