恵那市明智町に定住した水野七美さんの今までとこれから

Interviewee

水野七美さんは、一棟貸し切りモロッコ宿「リヤドナナ」オーナー。2019年に恵那市明智町で明日、海外に行きませんかー。のキャッチコピーでオープンし、全国から人々が集まる場所となる。宿をオープンする前は印刷会社で働いていた七美さんが宿をオープンするきっかけは何だったのでしょう。

七美「中学生ぐらいから30ヶ国ぐらい旅してきて。旅する中で各国の文化、様々な出会い、新しい体験を繰り返してこういうのを多くの人に届ける為に国内に海外の世界観を伝えることができる宿はどうだろうと模索していた。国内に本格的なモロッコ宿がまだなかったというのもあるし、モロッコのリヤドって庭園や中庭の周りに建てられた伝統的な住居の建築形態があるんだけど、いろんな人が集まる中庭っていうのが自分の想いを届けられる場所になるのかなと。モロッコはヨーロッパ文化と掛け合わせた国で、パワーとエネルギーもあってそんな影響も受けている。海外が好きなら海外で宿をオープンさせるのはどう?ともアドバイスもらったこともあるんだけど、なんだかしっくりこなくてね。自分のところに来て欲しいって思ったの。そんな時に明智町で祖母が住んでいた古民家が“空き家”になったことと、両親の退職が重なったタイミングでオープンするって決めたんだ。」

前職が印刷会社だった七美さんがそう思えたのには、前職の上司の影響もあったよう。その時の上司は「私が責任取るからやりたいことを思うようにやればいい。」と大きな仕事も任されたそう。経験したことがないこともチャレンジさせてもらうことができ、自分の思いを届ける前職の経験と実績が礎になっている。

その後七美さんは、宿の図面を持ってモロッコに渡り、タイルや生地を買い付け、扉、内窓、テーブル、柵やタオル掛けなど現地の職人にオーダーし、提供する料理もモロッコで習う。タジン鍋ももちろんモロッコで調達して、ミントティーの種類もモロッコミントと徹底ぶりだ。そんな七美さんには突き当たる壁はなかったのだろうか。

七美「それはやっぱりコロナ禍かな。誰もがそうだとは思うけど、私はオープンしてこれからって時だったから。あの時はひたすら裏庭を作り続けたよ。この地域の御影石って美しいし、イギリスのロックガーデンみたいなイメージも加えてひたすらに。」

コロナ禍の中、混乱の終息を願いながら人々が集まる裏庭作りを始めた七美さんのところに地元の人々が集まりだす。散歩の途中に「何しとるの。」と寄ってくれるようになった。コンクリートを手で練っていると道具を貸してもらえるし、大きな石も重機で動かしてもらうことも。バラの苗が届いたり、イルミネーションを付けてもらったりと、七美さんの想いとともに裏庭が作られていく。同じ時期、行政からも七美さんに声がかかり、まちづくりの活動もスタートさせていた。そして移住者やまちづくりのメンバーも集まるように。アフターコロナとなった現在は全国からはもちろん、多様な人々がこの裏庭で集う場所となる。つい先日も学校を造りたいという志を持った若者が集い、人と人が繋がる場所となっていた。

七美「これから起業する人には本物を追及して欲しい。本気で何かやりたいっていう人って会うと伝わってくる。私も過去にそうしてもらったように、挑戦する人の力になれることがあれば力になりたい。」

宿の運営、料理、庭づくりからまちづくりの広報デザインや編集をこなし、この『ゑなの結』のデザインも七美さんが手がけている。そして七美さん自身も「リヤドナナ」のとなりに新店舗のオープンに向けて準備のまっただなか。次に選んだ国は韓国&モロッコで、モロ韓の融合。近日中に韓国の買い付けも控えている。ここから七美さんが創る世界観がどんどん広がっていく。今までになかった価値観、仕事、そしてまちづくりが始まるここ「リヤドナナ」にさらなる期待が募るばかりだ。

コメント

  1. モロッコが「リヤド」なら、韓国では「マダン」。どちらも中庭的な、外と内を結びつけ人と人を結びつける意味があり、交流の「広場」として韓国系の集まりに使われる言葉ですね。その融合体がオープンするとのこと。名称を勝手に思い浮かべています。「リヤダン」では味気ないし?「マダリヤ」では、まだイヤ!みたいになるし…リヤドもRE宿って言い換えたらまた面白いし…などなど、しばらく名称だけで遊べます。
    楽しみにしてますね。